JAPAN EQ AWARD 2026 受賞者一覧 / 株式会社ホクジョー
準グランプリJAPAN EQ AWARD 2026 団体部門
株式会社ホクジョー
感情で勝つチームになる 鵬学園高等学校男子バスケットボール部 EQワークアウトプロジェクト
石川県・能登半島に本社を置く株式会社ホクジョーは、県内の鵬学園高等学校男子バスケットボール部で、1年を通じたEQのトレーニングに取り組んでいます。年2回のEQ診断、3か月ごとのワークアウト、毎日の感情の記録。選手だけでなく、指導者や保護者も巻き込みながら、感情を「勝つための技術」として磨いてきました。
高校生と一緒に感情に向き合ってきた1年間を、松原圭一郎社長と、教育統括責任者の本多恵理子さんの言葉とともに紹介します。
感情は自然に生まれる。
その後の行動は、
選べる。ワークアウトで選手に伝えていること
- EQ診断(4月・10月)
- 年2回
- EQワークアウト
- 年4回
- 保護者説明会
- 年3回
- 感情ラベリング
- 毎日
測定し、分析し、学び、試合や練習で実践し、また測る。EQを一度きりの研修ではなく、筋力と同じように「続けて育てる力」として位置づけています。
なぜ、バスケットボール部でEQなのか
ホクジョーがEQと出会ったのは2024年。能登半島地震のあった年です。松原社長が別の事業で東京へ営業に出向いた際にジャパンラーニングとの縁が生まれ、EQの価値を知って、まず自社でも取り扱いたいという思いが広がりました。
そこから始まったのが、松原社長の母校でもある鵬学園高等学校の男子バスケットボール部とのプロジェクトです。教育統括責任者の本多恵理子さんを中心に、ワークアウトを重ねてきました。
スポーツでは技術・体力・戦術が重視されます。それでも、最後に試合の勝敗を左右するのは感情だと、ホクジョーは考えています。実際の試合では、こんな場面が起こります。
- ミスを引きずる
- 焦って判断を誤る
- 仲間への声かけが消える
- チームの空気が悪くなる
ところが高校年代では、感情は「気合」や「根性」で片付けられることが多く、自分の感情を理解し、扱い方を学ぶ機会はほとんどありません。そこでこのプロジェクトでは、EQはメンタルトレーニングではなく「勝つための技術」だと、選手に伝えるところから始めました。
知る、理解する、活かす、整える。1年間のプログラム
2025年度のテーマは「自分の感情を知ること」。感情を知り、理解し、活用し、調整するという4つの段階に沿って、3か月ごとにワークアウトを行いました。
- 4月 認知EQとは何か
感情とは何か、なぜスポーツにEQが必要なのか。技術や体力だけでなく、感情もパフォーマンスを左右することを学びました。
- 7月 理解出来事→感情→行動
ミスや試合中の出来事を振り返り、自分がどう感じ、どう反応したのかを整理。感情は自然に生まれても、その後の行動には選択肢があることを知りました。
- 10月 活用相手との関わり方を変える
同じ出来事でも、感じ方は人によって違う。「正しい・間違い」ではなく「違い」としてとらえ、仲間との関わり方や言葉の選び方を見直しました。
- 1月 調整「自分スイッチ」をつくる
パフォーマンスを下げてしまう感情を整理し、気持ちを切り替えるための自分なりのスイッチやルーティンを考えました。
4月と10月のEQ診断
EQ診断は、点数を確かめるためではなく、自分の感情の特性や強み・課題を客観的に知るために使っています。半年ごとの変化を振り返り、自分が次に取り組むテーマを決めます。
毎日の感情ラベリング
ワークアウトで終わらせないために、日々の振り返りとして「感情ラベリングシート」を使っています。その日の出来事と、そのとき感じた感情を書き留め、自分の気持ちを言葉にする習慣をつくります。続けるうちに自分の感情の癖に気づきやすくなり、学んだことが練習や試合、日常の場面とつながっていきます。2026年度からは紙からスマートフォンでの入力に切り替え、さらに続けやすくしました。
測って終わりにしない、育成のサイクル
- 測定
- 分析
- コーチング
- ワークアウト
- 実践
- 再測定
高校生が、自分ごとにできるように
始めた当初、選手たちには「感情は気持ちの問題では」「スポーツに関係あるのか」という戸惑いがありました。EQを自分ごととしてとらえてもらうために、3つのことを徹底しています。
バスケットボールを
そのまま教材にする
心理学を教えるのではなく、選手が毎日経験している場面を題材にしました。そのとき、どんな感情だったのか。その感情が、どんな行動につながったのか。
- フリースローを打つ直前の緊張
- ターンオーバー直後の焦りや怒り
- ベンチからの声かけで流れが変わる瞬間
- 試合終盤の勝負どころでの判断
診断結果を
チームで共有する
EQ診断の結果は個人で終わらせず、チームメイト同士で特性を共有しました。すると、仲間の見え方が変わっていきます。
「あいつはやる気がない」ではなく、「不安を感じやすい特性がある」「自己表現よりも傾聴が得意なタイプなんだ」と理解しようとする。
応募シートより
相手を性格で決めつけるのではなく、EQという共通の言葉で理解しようとする文化が、少しずつ育っています。
保護者と
同じ視点を持つ
年3回の保護者説明会を開き、EQとは何か、なぜ部活動でEQを学ぶのか、診断結果の見方、家庭でできる声かけを共有しています。保護者向けの成長レポートも作成しました。
- 子どもの考え方や行動の理由が理解できるようになった保護者の声
- 家庭での声かけを意識するようになった保護者の声
- 試合だけでは見えなかった成長が分かった保護者の声
説明会をきっかけに、自分自身もEQ検査を受ける保護者も現れました。親子のコミュニケーションを見直す機会になり、EQが家庭にも広がり始めています。
選手たちに起きたこと
選手自身からも、日々の様子を見守る指導者からも、具体的な変化が聞かれるようになりました。
選手の変化
- 以前より感情を言葉にできるようになった
- 仲間の特徴を理解できるようになった
- ミスのあとの切り替えが早くなった
- 練習中の声かけが増えた
指導者が見た日常の変化
- 挨拶
- 整理整頓
- 練習への入り方
- 選手同士の関わり
- 自分から目標を立てること
EQを知識で終わらせず、行動の変化につなげられたこと。それが、この1年の最も大きな成果です。
ワークシートに書かれた言葉
10月のワークアウトでは、診断結果の変化を3人1組で共有し、仲間からフィードバックをもらったうえで、自分のテーマと行動を決めました。選手たちが書いた理由には、それぞれの課題への向き合い方が表れています。
- 相手の気持ちを理解して行動することで、チームの雰囲気が良くなると思ったから。テーマ:対人受信力
- 大事な場面で悪いことを思い出して、調子がくるわないようにするため。選手のワークシートより
- 自分の事ばっかりに目を向けているので、もっと周りに目を向けて、積極的に関わっていこうと思ったから。テーマ:組織関係度

スコアが下がったことを、どう読むか
4月と10月のEQ診断を比べると、一部の平均値は下がっていました。一般には「悪化」と受け取られがちな結果です。しかしこのプロジェクトでは、自己理解が深まり、自分をより客観的に評価できるようになった成長のあらわれだととらえています。
EQ診断は、できているかどうかではなく、本人が自分をどう認識しているかを映します。高校生は、周囲や上のレベルを知るなかで「できていると思う自分」から「まだ伸ばせる自分」へと認識が変わっていく時期です。真剣に競技に向き合う選手ほど、自分への評価は厳しくなります。
- 1知らない
(無自覚) - 2知っている
つもり - 3分かってきたからこそ、
足りなさが見える - 4実践の中で
調整できる
いまの数値の変化は、3つ目の段階に入った選手が増えていることを示していると考えています。保護者向けのレポートでもこの見方を丁寧に伝え、数値だけで一喜一憂しないよう共有しています。
審査で評価された点
JAPAN EQ AWARDでは、成果の規模や完成度だけでなく、EQに向き合ってきた姿勢を重視して審査しています。ホクジョーの取り組みは、とくに次の点が評価されました。
- 感情を「精神論」ではなく、磨ける力としてとらえたこと
- 高校男子バスケットボール部という競技の現場で、感情を勝つために磨くことのできる力として扱い、継続的な取り組みにしている。
- 自分からチームへ、段階的に広げる設計
- EQ診断と年間を通じたワークアウトを組み合わせ、自分の感情の理解から、仲間との関係、チーム全体のあり方へと広げている。
- 指導者や保護者まで巻き込んだこと
- 選手だけでなく、指導者や保護者とも同じ視点を共有し、「感情は自然に生まれる。その後の行動は選べる」という考え方を、高校生が競技と日常で使える形にしている。
これから
2026年度のテーマは「感情で勝つチームになる ~個のEQからチームEQへ~」。一人ひとりの感情の理解から、チームの文化、声かけ、リーダーシップ、試合中の判断へと、EQを活かす段階に進みます。
新入生は基礎からEQを学び、上級生はそれを実践し、後輩に伝える役割を担います。キャプテンだけがリーダーなのではなく、全員がチームを前に進める存在になる。その文化を、学年を越えて受け継いでいく計画です。
目指しているのは「勝つためにEQを学ぶ」ことではなく、「EQを育てることで、勝ち続けられるチーム文化をつくる」こと。感情を個人の問題ではなくチームの資産として育てるこの取り組みを、他の競技や他校にも広げていきたいと考えています。
ワークアウトの様子は、鵬学園高等学校男子バスケットボール部のInstagramでも紹介されています。
部活動やチームで使える、4つの視点
ホクジョーの取り組みには、スポーツのチームはもちろん、職場のチームにも応用できる考え方があります。
その現場の出来事を、そのまま教材に
理論から入るより、フリースロー前の緊張やミス直後の焦りのように、本人が毎日経験している場面から考えると、感情の話が自分ごとになります。
スコアの低下を、成長として読み解く
自己理解が深まると、自分への評価は一時的に厳しくなります。数値の上下だけで判断せず、その意味を本人や周囲と一緒に考えることが大切です。
結果を共有して、共通の言葉にする
互いの特性を知ると、「やる気がない」という決めつけが「不安を感じやすいのかもしれない」という理解に変わります。
本人を支える人も、同じ視点に
指導者や保護者が同じ考え方を持つと、声かけが変わり、学んだことが練習の外でも続いていきます。職場なら、上司や家族にあたる存在です。
あなたのEQの実践を、聞かせてください
ホクジョーの取り組みは、能登の会社が、高校の部活動という現場で始めた実践でした。感情の扱い方を学ぶ場は、会社の研修室だけではありません。教室にも、体育館にも、家庭にもあります。
始めたばかりでも、小さなチームでも構いません。学校、企業、部活動、地域の活動。それぞれの場所で生まれているEQの実践を、JAPAN EQ AWARDは毎年募集しています。
次回の募集やJapanEQの導入についてのお問い合わせ:contact@eqaward.jp