株式会社キャリアウィズ|団体部門準グランプリ受賞者インタビュー

JAPAN EQ AWARD 2026 受賞者一覧 / 株式会社キャリアウィズ

準グランプリJAPAN EQ AWARD 2026 団体部門

株式会社キャリアウィズ

数字ではなく、感情に向き合う。7人のフルリモート組織が選んだ道

公式サイト(career-with.jp)

20代に特化した人材紹介を手がける株式会社キャリアウィズは、代表を含めて7名。全員がフルリモートで働く会社です。数字を追うことに偏っていた組織を、代表自らが見つめ直し、「感情」を起点に、理念を一人ひとりの行動へとつなげてきました。

全員で2か月かけた行動指針づくり、求職者の声を聞くアンケート、理念を組み込んだ評価制度。その歩みを、田中こころ代表の言葉とともに紹介します。

売上は結果であって、
目的ではありません代表 田中こころ

ノートパソコンに向かい、笑顔を見せる田中こころ代表
株式会社キャリアウィズ 代表 田中こころさん
メンバー(代表を含む)
7名
行動指針を全員でつくった期間
約2か月
売上 前年同期比
116%
tameni+ Awards 2025 下半期
関東5位

理念を研修で「配る」のではなく、7人だからこそ、一人ひとりと対話して腹落ちさせていく。フルリモートで感情が見えにくいからこそ、その関わりを意識してつくる。それがキャリアウィズの選んだ方法です。

数字を追う自分に、気づいたとき

キャリアウィズが掲げる理念は「人・組織の可能性を引き出し、未来を描くことを支援することで社会を一歩前進させる」。入社をゴールではなく起点ととらえる転職支援に取り組んできました。

ところが2025年の春、組織は大きな壁にぶつかります。退職や育休に入るメンバーがいることから既存メンバーが数字を追っていくことにプレッシャーを抱え、求職者へ向き合う際にも不安を持たせてしまっていたのです。田中代表は、その原因が自分自身にあったと振り返ります。

決定数や生産性といった数字を追うことに意識が偏り、メンバーも求職者も、「成果」としてしか見えなくなっていたのです。その状態をつくってしまったのは、数字ばかりを追っていた私自身でした。

田中こころ 代表(応募シートより)

転機は、大学院のカスタマージャーニーの授業で出会った「売上はお客様の喜びの総量だ」という言葉でした。売上は追うべき目的ではなく、お客様に価値をつくった結果として生まれるもの。当たり前のことを見失っていたと、はっとしたといいます。

人材紹介は、求職者の人生の岐路に立ち会う仕事です。田中代表はEQを「自分・仲間・お客様の感情に向き合い、それを力に変えることで、一人ひとりが描きたい未来をつくれるよう支えること」ととらえています。お客様に価値を届けるには、まず働く人の感情が動かなければならない。そこで決めたのが、「お客様のために」の前に、まず「仲間のために」理念と感情に向き合うことでした。

まず、仲間の感情に向き合う

最初に取り組んだのは、メンバー一人ひとりと対話し、悩みや不安をまず理解することでした。話を最後まで聴き、否定せず、受け止める。そのうえで「どんな状態をつくりたいのか」を一緒に解きほぐし、答えを与えるのではなく、本人が自分で答えを見つけられるよう支えることを意識しました。

フルリモートでは、表情や雰囲気から気持ちの変化に気づくことができません。そこで田中代表は、日報や日々の業務に表れる小さな気持ちや行動の変化に目を向けるようにしました。そして朝礼などの場で、成果そのものだけでなく、そこに至るまでの向き合い方を言葉にして称えています。

すごいじゃん! 常に向き合ってきたからの結果だよね!

朝礼でのメンバーへの声かけの一例

理念を、自分たちの言葉にする

理念を日々の行動に翻訳する「行動指針」は、田中代表が一人で決めるのではなく、約2か月かけて全員で対話しながらつくりました。使ったのはカスタマージャーニーです。面談前からヒアリング、求人紹介、選考対策、面接前後まで、求職者がそれぞれの段階でどんな感情を抱くのか。うれしい、安心する、不安になる、残念に思う。プラスとマイナスの両方を書き出し、自分たちにどんな関わりができるかを考えました。

求職者の転職活動を、面談前・ヒアリング中・求人紹介と応募・対策前後・面接前後の段階に分け、それぞれの段階でのプラスの感情、マイナスの感情、自分たちのアクションを書き出した表
行動指針づくりで使ったカスタマージャーニー。段階ごとに、求職者のプラスとマイナスの感情、自分たちにできるアクションを書き出しています。

対話の中から生まれたのが、「寄り添い」「広げる」「スピード」という三つの言葉です。どれも、メンバー自身の言葉で意味を定義しました。

言葉の意味をすり合わせたり、どんな思いを持っているのかを全員で言語化したりするなかで、こんな素敵な思いで事業に向き合ってくれているのかと、私自身がメンバーの気持ちや想いに気づかされる時間でした。

田中こころ 代表(応募シートより)

寄り添い

  • 今、そして未来に寄り添う
  • 相手のペース、気持ち、想い、考えを尊重する

評価で見る指標求職者一人あたりの折衝数(面談や電話)

広げる

  • 考え方・発想・見方を広げる
  • 選択肢を、今できることを広げる

評価で見る指標面談後アンケートで「気づき」を回答してもらえた数

スピード

  • 企業と求職者が直接やり取りしているくらいのスピードを目指す
  • 不安を解消するスピードは、速いに越したことはない

評価で見る指標初回面談から一次選考までのリードタイム

理念の体現度を、賞与の評価に組み込む

こうした関わりを一時的なもので終わらせないために、賞与の評価制度も見直しました。会社の業績と個人の実績に加えて、三つの言葉をどれだけ体現できたかを定量化し、評価項目にしています。

  • 会社の業績
  • 個人の実績
  • 理念の体現度(寄り添い・広げる・スピード)

朝礼や振り返りの場でも感情と理念に立ち返る時間をつくり、「どう成果を出したか」を大切にする文化を、制度と習慣の両面から支えています。

お客様の感情を、直接知る

初回面談後アンケート

行動指針をもとに、初回面談のあとに求職者へアンケートをお願いするようにしました。満足度に加えて、たとえば次のようなことを尋ねています。

  • 面談を通して、転職活動に対する考えや気持ちの変化はありましたか
  • 面談を通して、新しい気づきはありましたか。あった方は、どんな気づきでしたか

返ってくる声は、うれしいものばかりではありません。

  • 初めてでわからないことだらけでしたが、たくさん聞いてくださったり優しく質問などにも答えてくださり、私もすごく話しやすかったです。求職者の回答より
  • カジュアルな雰囲気の面談で、優しくヒアリングしてくださって緊張も溶けました。求職者の回答より
  • 進路の方向性が決まってよかった。しかし、外してほしいと伝えた企業を候補先として紹介されたのは残念だった。求職者の回答より

「話しやすかった」「考え方が整理できた」という声は、メンバーのやりがいにつながります。一方で、耳の痛い声からも目を背けず、寄り添えていなかった点を具体的に受け止めて、次の関わりを変えていく。田中代表は、その往復こそがEQの実践だと考えています。

企業の想いを、自分の言葉で語れるように

求職者だけでなく、企業側の想いを知る機会もつくりました。クライアント企業の人事担当者とキャリアアドバイザーが直接対話する場を設け、事業への想いや、どんな仲間と働きたいかを話してもらっています。企業への理解と共感が深まることで、キャリアアドバイザーがその会社の魅力を自分の言葉で語れるようになり、求職者にも納得感のある提案ができるようになりました。

メンバーと組織に起きたこと

キャリアアドバイザーたちは、もともと求職者一人ひとりに誠実に向き合ってきました。この取り組みを通して、成約数を追うことよりも、求職者により深く向き合うことを大切にするようになっています。あるメンバーは、選考で見送りになった理由を求職者と一緒に整理し、翌日の選考に向けて志望動機をつくり直して再挑戦を支えるようになりました。いまでは数字の面でも、ほかのメンバーを支える存在です。

社内のやりとりも変わりました。以前は数字の話が中心でしたが、いまは「どう向き合っているか」「こういうところがうれしかった」という言葉が行き交っています。田中代表自身も、数字ではなく、お客様への向き合い方という観点でフィードバックすることが増えました。

メンバーの言葉から

意見を言うのが苦手で避ける傾向があったけど、今回意見を言えたのは、言いやすい環境をいつもつくってくれて、裁量を持って働けるからだと痛感しました。

Slackより

今朝、先日受けた企業の見送り理由を踏まえて、急遽電話して志望動機を作成してから今日の選考に挑んでいただきました!感想はまだ回収していないのですが、プラスに働いていたらいいなと思います。

日報より

(面談の振り返りを)入力している最中でアンケート回答いただき、めちゃくちゃ嬉しかったです、、、!! やりがいいいいい!!

日報より

感情が、想いになり、行動になる

取り組みを通して田中代表が実感したのは、感情を起点に理念を自分ごとにすると、想いが生まれ、行動が変わり、お客様への向き合い方が変わるということでした。

  1. 理念
  2. 行動指針感情を想いに
  3. 一人ひとりの
    「らしさ」ある行動
  4. お客様との接点想いが行動に
  5. 心を動かす
    サービス
  6. 感動が
    生まれる
  7. 売上結果として

そして結果は、数字にも表れました。売上は前年同期比116%。さらに、マイナビ転職の「tameni+ Awards 2025」下半期では、登録する約400社の紹介会社の中から関東エリア5位に選ばれています。

このアワードは転職の決定数だけでなく、求職者からのレビュー(満足度)も含めて評価されます。田中代表は、規模ではなく「向き合い方」で価値を生めることの証だと受け止めています。

tameni+ Awards 2025 下半期 関東ランキング第5位の表彰状とトロフィー
tameni+ Awards 2025 下半期の表彰状とトロフィー

感情や思いを、しっかり受け止める組織でありたい

今回の取り組みのきっかけは、私が数字を追うことをベースに話をしてしまっていて、メンバーが不安やプレッシャーを感じてしまったことでした。このままじゃダメだと思い、改めて理念を起点に、感情を起点に、理念をどう自分ごとにしていくかを考え、感情に向き合うことを大事にしてきました。

そこに感情や想いがベースにないと、どうしても売上を上げることが目的化してしまいます。売上は結果であって、目的ではありません。お客様の心を動かすサービスをどう提供できるかを全員で考えて行動指針をつくり、それをもとにアンケートをつくったり、評価制度を整えたりしてきました。

社内のコミュニケーションも、今までは数字の話が多かったのですが、「どう向き合っているか」「こういうところがうれしかった」という定性的なやりとりがとても増えたと感じています。

フルリモートだと、どうしてもリアルで話す機会が少なくなります。だからこそ、感情や思いにしっかり向き合う、受け止めるということを大事にして、今後も事業をより大きくしていきたいと改めて思っています。

株式会社キャリアウィズ 代表田中 こころ

審査で評価された点

JAPAN EQ AWARDでは、成果の規模や完成度だけでなく、EQに向き合ってきた姿勢を重視して審査しています。キャリアウィズの取り組みは、とくに次の点が評価されました。

経営者自身が変わることから始めたこと
数字を追う中で生まれた違和感に対し、「組織を変える前に、まず経営者自身が変わる」ところから取り組みを始めている。
気づきを、日々の仕組みに落とし込んだこと
自らの感情や認知の偏りへの気づきを、理念や行動指針の共創、日々の対話、求職者との関わり方へと具体的につなげている。
距離があるからこそ、感情を丁寧に扱ったこと
7名のフルリモート組織という環境で、メンバー一人ひとりとの関係づくりを見直してきた独自性。
審査総評の全文を読む

これから

フルリモートは、対面に比べて感情の変化に気づきにくい働き方です。人数が増えれば、コミュニケーションの量が減ったり、育成のスピードが落ちたりするかもしれません。それでも田中代表は、その難しさに向き合うこと自体が、一人ひとりが感情を味方に一歩先へ踏み出す力を磨く機会になると考えています。理念と行動指針、振り返りの仕組みといったハード面と、日々の対話で感情に向き合うソフト面。その両方を整えていきます。

毎年夏にジョインいただくインターンのメンバーや、これから増えていく仲間に対しても、既存のメンバーがスキルや成果を求める前に、まず「何を感じ、どんな不安を抱え、どんなことに挑戦したいのか」に向き合う機会をどんどん増やしていきたいと考えています。感情に向き合う関わりが、人から人へと受け継がれていく組織であり続けること。それが、キャリアウィズのこれからのテーマです。

小さな組織だからこそ使える、四つの視点

キャリアウィズの取り組みには、規模の小さな会社やチーム、リモートで働く組織にこそ応用できる考え方があります。

理念は「配る」より「話す」

少人数なら、研修資料で理念を伝えるより、一人ひとりと対話するほうが早く深く届きます。顔が見えないリモートこそ、関わりを意識して増やすことが大切です。

行動指針は、お客様の感情から逆算する

お客様がどの段階で、どんな気持ちになるのか。プラスとマイナスの両方を書き出すと、自分たちに必要な行動が、自分たちの言葉で見えてきます。

理念を評価に入れ、プロセスを称える

結果の数字だけを評価していると、理念は掛け声で終わります。体現度を評価に組み込み、日々の向き合い方を言葉にして称えることで、行動が続いていきます。

耳の痛い声も、改善の材料にする

お客様の声を集めると、厳しい意見も届きます。目を背けずに受け止め、次の関わりを変えていく。その往復が、組織の向き合い方を磨きます。

あなたのEQの実践を、聞かせてください

キャリアウィズの取り組みは、7人の会社で、代表自身の気づきから始まった実践でした。大きな制度や予算がなくても、感情に向き合う姿勢と、それを日々の仕組みにする工夫があれば、組織は変わっていきます。

始めたばかりでも、小さなチームでも構いません。学校、企業、部活動、地域の活動。それぞれの場所で生まれているEQの実践を、JAPAN EQ AWARDは毎年募集しています。

次回の募集やJapanEQの導入についてのお問い合わせ:contact@eqaward.jp